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2015/04/17

微笑みに微笑んで。新羅びとの贈りもの世界遺産「石窟庵」



ソウルからKTXで約2時間。

かつて新羅王国の都として栄えた

古都、慶州に到着します。

街全体が「屋根のない博物館

呼ばれているのも納得、

新羅びとの文化遺産で溢れています。

その中に、かねてから私が韓国で

最も目にしたかった仏像があります。

新羅仏教芸術の傑作「石窟庵」。

有名な仏国寺とともに、

慶州を代表する世界遺産です

仏国寺を観光し、そこから車で

トハム山の山道を登る事、約20分。

石窟庵の入口に到着します。

目指す石窟庵は、さらにここから

1キロ程歩いた所にありました。

階段の先に、山に溶け込むように

木造の小屋が見えてきます。

想像していたよりも簡素な雰囲気

小屋の中に入ると、ガラスで

覆われた石窟庵が姿を現しました。

石窟庵は3つの部屋で構成され

四角い「前室」があり「扉道」、

そして丸くドーム型の「主室」。

主室に鎮座する「本尊仏」を

守るように各部屋の壁面には、

守護神の像が彫られています。

残念ながらガラス越しの拝観の為、

前室以外の中の様子は見られません。

石材に、花崗岩が使われている為、

石窟庵は白く格調高い光景です。

扉道の奥に見える主役の本尊仏は、

想像以上に大きく高さ3.48メートル。

丸みのある柔らかい彫刻が際立ち、

やさしく気品に満ちた佇まいです。

新羅びとの技術の高さを感じる。

穏やかに微笑む表情は、まさに慈悲

向き合っていると心が洗われ、

自然と微笑んでしまいそうです。

しかし、このガラス張りが残念。

石窟庵には、悲しい歴史があります。

日本統治時代に偶然発見されますが、

崩壊寸前の状態だったようです。

そのため、日本により三度、その後

韓国により再三修復が行われますが、

復元は困難を極めたようです。

新羅びとの技術が高かったのか、

大きな問題は内部にこもる湿気。

石材の花崗岩は、湿気による劣化が

激しかったようで湿気との戦いに。

結果現在のガラスで覆い

人工換気システムを利用する方法に

なってしまったそうです。

完全ではないが、こうして時をこえ

新羅びとの贈り物と向き合える事、

この微笑みに感謝したい。

内部で撮影している観光客がいますが、

内部は撮影禁止です。ご注意ください。