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2015/03/30

春の珍事。現代版モーゼの奇跡「珍島海割れ」




韓国の西南端に位置する珍島。

名曲「珍島物語」でお馴染みの、

神秘の海割れ」で有名な島です

そして毎年海割れが最も綺麗に見られる

「珍島霊登祭」が開催されています。

前日はソウルと珍島の中間、儒城に一泊し

祭りの会場になっている珍島の回洞村へ。

はるばるやって来たという思いです。

会場は、海割れを目にしようと多くの人で

賑わい様々な催し物も行われています。

この日の海割れが始まる予想は、18時頃。

干潮になるとここ回洞村から、海に浮かぶ島

茅島里(モドリ)を結ぶように約2.8km、

幅40m程の道が出現します。

時間まで、珍島物語を聞いてみます。


珍島物語 作詞作曲 中山大三郎
♪ 海が割れるのよ 道ができるのよ
島と島とが つながるの
こちら珍島から あちら茅島里まで
海の神様 カムサハムニダ
霊登(ヨンドン)サリの 願いはひとつ
散り散りになった 家族の出会い
ねえ わたしここで 祈っているの
あなたとの 愛よふたたびと


とても素敵な曲で、分かりやすい詞です。

数少ないハングルの歌詞に

霊登ヨンドンサリ」がありますが、

これはある伝説の事を指しています。

昔々、ここ回洞村は「虎洞」と呼ばれる程

虎が沢山現れる村でした。困った人々は、

向かいの茅島里へ逃げてしまいます。

ところが、たった一人「ポン婆さん」が

村に取り残されてしまったのです。

家族に会いたい一心のポン婆さんは、

海の龍王様にその思いを日々祈願します。

心を動かされた龍王は、

「明日虹を架けるから海を渡りなさい」

とポン婆さんにお告げを与えます。

見事に虹が架かると、茅島里の家族は

ポン婆さんを探しに虎洞村へ渡ります。

家族と再会できたポン婆さんは、

「私の祈りで再会でき思い残す事は無い」

と息を引き取ってしまいました。

この伝説からポン婆さんの思いを称え、

海割れが起こる時に霊登祭」が

行われるようになったそうです。

時刻は、18時。回洞村と茅島里を結び

大きく弧を描くように徐々に道が出現。

これは凄い。本当に海が割れているよう。

一時間ほどで再び潮が満ちてくるそうで、

茅島里まで渡りきろうとする人をはじめ

続々と海の道に入って行きます。

私とつまも長靴を履いて、後に続きます。

現れた道には、あさりなど貝類が豊富で

潮干狩りに精を出す人も多いです。

海の上を歩いているとは、なんとも

不思議な感覚で光景です。

しかし、2.8kmはなかなか。

中腹の手前で折り返す事にしました。

貴重な体験をした充実感で心も豊かです。

帰りのバスで、再び珍島物語に耳を傾ける。

やはり実際に体験した後で聞くと、

光景が目に浮かび、思いもひとしお。

ポン婆さん、今年も家族に会えましたね。

珍島物語 天童よしみ

2015/03/10

テボルム名人展 心にしみる人間国宝のパンソリ




旧暦1月15日にあたる3月5日は、

韓国の名節「テボルム」。

1月1日の旧正月から15日後、

一年で初めての満月の日に

今年の豊作や健康をお祈りする

伝統的な風習です。

この神聖な日を記念し、

韓国伝統音楽名人が集うのが

「テボルム名人展」です。

今回招待を受け、会場の

国立国楽院へ向かいました。

会場は多くの人達で賑わい、

韓服をまとった関係者や、

名人出迎えています。

座席はなんと最前列のVIP席。

本当に感謝です。

開演時間となり、幕が上がると

スクリーンに大きな満月が。

風情のある舞台で、次々に

名人の演奏が奏でられて行きます。

どの演奏も実に趣きがあり、

伝統音楽の奥ゆかしさを感じます。

そしてパンソリの演目となり

重要無形文化財に指定されている

チョンチャンスン氏が登場。

鮮やかなピンクのチマチョゴリ、

御歳80とは思えない貫禄のある姿。

コス(鼓手)の方も文化財と

豪華な二人が揃いました。

パンソリは、パン広場)とソリ

の造語で、歌い手と太鼓奏者の二人で

一つの物語を歌う韓国伝統芸能です。

今夜は現在残っている5つの物語から

最も高度な「沈清歌」が語られます。

チョン氏とコスの方の間に、

張りつめた緊張感があり、

シンプルで力強い太鼓のリズムと

力強い歌声が会場に響き渡ります。

人間国宝の表情や感情を表現する様は、

ぐっと胸に迫るものがあります。

親孝行の感動的な物語ですが、

言葉が分からなくても

情景が見えるようで心にしみる。

拍手喝采で幕が降りました。

時が経つのもあっという間の名人展。

今年は、名人のパンソリのように

力強く感情豊かに過ごして行きたい。